企業のチカラメイドイン薩摩川内 第111回<合資会社新原味噌醤油工場>

2月2日は合資会社新原味噌醤油工場 代表社員 新原健次さまにお越しいただきました!

1.合資会社新原味噌醤油工場

合資会社新原味噌醤油工場は樋脇町市比野の空港バイパス通り沿いにあり、醤油や味噌だけではなく お酢や焼肉のたれ、めんつゆなど、関連する加工品も製造販売しています。

 

今は樋脇町市比野にありますが、明治38年に創業された当時の場所は、向田本町でした。 その後、戦後に西開聞町、今のすこやかふれあいプラザの場所に移り、樋脇町市比野に移転したのは平成9年になります。

 

市比野に移転される際には様々なことを調査研究されました。例えば、味噌作りに欠かせないについては、 ボーリングをして水質の検査をチェックし、移転する際の時期についても色々と考慮し、秋口を選んで移転しました。 秋は大気が乾燥して涼しくなり、大気中の雑菌が比較的少ないからです。

 

微生物がしっかりと働いてくれる環境の整備というのも、味噌作りにおいてはとても大事な要素のひとつですね。

2.プロの教える味噌づくりの工程

味噌作りの工程についても分かりやすく教えていただきました!

 

味噌は、大きく分けて米味噌・豆味噌・麦味噌があり、 シェアとしては米味噌が圧倒的に多く8割ほどを占めており、 新原味噌醤油工場の代名詞である麦味噌は、非常に少なく10%ほどになります。原料として大麦若しくは裸麦、大豆、塩それから良質な地下水、 これらを合わせたものに麹菌を種付けして良い麹を作ります。

 

また、昔から言われている、味噌作りには三つの要点についても教えていただきました。

 

まず一つ目が。良い麹を作らないと良い味噌はできません。第二に「炊き」、 これは「大豆を炊く」という意味であり、タンパク原料である大豆煮炊き具合が、お味噌の色合いや風味、香り、そして柔らかさに大きく影響します。

 

そして三番目が「仕込み」、よくできた麹菌と塩等が均等に混ざって、そこに大豆を潰して一緒に混ぜたたものをタンクの中に仕込みます。

創業110年を超える名老舗の味噌づくりの極意を教えていただいてます!

3.物流の拡大に伴い、益々重要になってくる「管理」

より詳しくお伺いしましたところ、今もう一つ加えるのであれば、4番目に「管理」が重要であると新原さんは考えています。

 

今は工場の商品が関東・関西・東北、ひいては海外へも多くお届けすることができますが、そのような遠くのお客様のへお届けする際も、手に届く時に品質が変化していないようにすることがますます重要になってくるとのことです。

 

味噌は呼吸している」と言われるように、微生物が生きている状態では、良い悪いは別にして、気温の高いところでは変質をし、また水分や塩分にばらつきがあると腐敗が進んでしまいます。発酵=腐敗でもありますが、腐敗が進みすぎないようにすることが大事で、「人間にとって有益な腐敗はこれを腐敗と言わず発酵と言う」との名言もあるように味噌づくりにおいて欠かせないポイントであります。

 

熱帯夜の暑いとき、寒いときもお客様には一定以上の品質のものをお届けしないといけません。そのため、熟成時間、発酵時間を把握しながら、常に徹底した品質管理を行っています。

 

仕込みの時は大体35度程度の一定の温度に保たなければなりません。 その一定の温度で微生物は元気に働きますが、働きすぎると今度は徐々に熱を持ってきて40度程になることもあります。

 

そうすると、 微生物は自分でコントロールできなくなるので、今度は寒気を入れて涼しい空気を与えるようにしています。

 

本当に「生き物を扱っている仕事」になります。また新原味噌醤油工場が扱っている麹菌は日本にしかない麹菌であり、麹菌の動きというのは非常にミクロでミステリアスな世界でありますが、これこそが新原さんにとっても面白い部分であり、日々記録を取って勉強されています。

4.新商品「黒豚味噌」、そして「美しい」の起源

新原味噌醤油工場といえば「美しい麦味噌」のブランドが有名ですが、このシリーズで新商品も発売しています。これまでも豚味噌のふりかけやフリーズドライの即席味噌汁など、「美しい」シリーズでいろんなものを手がけてきましたが、昨年の11月に、新たに美しい麦味噌を使用し、流通もできるような「黒豚味噌」を作りました。

 

ところでこの「美しい」という言葉。食料品ではあまりお見掛けすることがなく、少し気になりますよね。そこで「美しい」という言葉がどういったいきさつで付けられたかについても教えていただきました。

 

すると意外なことに、新原さんが名付けたのではなく、デザイナーの方に一度新たなブランディングをしてもらった時に、デザイナーの方が提示してくださったのが「美しい」という名前だったそうです。

 

デザイナーの方と話をした際に、「微生物の働きによる発酵がきちんと進んでくれたら、味噌に非常に輝くような雰囲気というのが出てくる気がする」というのを新原さんがお話しましたところ、しっかりと発酵している時の味噌は山吹色に輝いており、そこからオーラ=美、美=美しいとの連想になり、一番「美しい」時が一番「美味しい」時との意味も込めて、決定されました。確かに上質な味噌で作ったみそ汁というのは、どこか輝いている気がしますよね。

 

このお名前はとても好評で、多くの方にお買い求めいただいています。

5.恒例の初夏の味噌祭り、今年は4月28日、29日に開催予定!!最近は工場見学もしております。

新原味噌醤油工場といえば初夏の味噌祭り(リンク先は昨年のもの)が有名ですが、今年も開催日が決定しており、 4月28日(土)、29日(日)に実施いたします。毎年多くの方にお越しいただき、今回で第16回目を迎え、市比野の定番イベントとして定着しています。

移転した時に、幹線道路沿いに工場を作って直売所を設けて目の前に駐車場も完備してましたので、この立地を活かしてお客様に来てもらえるようなイベントをしようと考えて始まったイベントです。 慣れないことなので、特に最初はスタッフには相当な苦労をお願いしましたが、今では多くのお客様も喜んでいただけるイベントとなっています。

 

また、工場見学も行っており、味噌や醤油の製造を見学することができます。

 

工場内には見学通路を設けており、そこから工場内を見ていただくことができます。 老人・婦人会、高校、専門学校と多くの方に来ていただいており、昨年はなんと韓国からのツアーバスも受け入れたとのことです。老舗味噌屋の製造工程を間近で見れる貴重なチャンス、ご希望の方はぜひご予約ください!

 

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食生活の多様化から大きな時代の変換期に差し掛かっておりますが、その中でも昔も今も変わらず最も大切なのは「お客様の声」。お客様の声を何よりも大事にして、このような商品が良いといった答えはすべてお客様のところにあるので、そのお声を今後も真摯に聞いて、より良い商品を作っていきたいと、抱負を述べてくださいました。

 

世界的に和食が注目を集めており、味噌についての需要も高まっていくことでしょう。今後ますますのご活躍を応援しております!

 

合資会社新原味噌醤油工場

 〒895-1203

鹿児島県薩摩川内市樋脇町市比野141−1

TEL:0996-21-0202

FAX:0996-38-2525

HP:https://www.niihara.jp/

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